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help リーダーに追加 RSS 桶川ストーカー事件の真相 清水潔 

<<   作成日時 : 2006/08/27 16:48   >>

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 今から12年前、職場の同僚のALTが夏休みの休暇があけ、9月に故郷のシカゴから帰ってきた時、ぼくがアメリカのミステリーが好きなのを知っている彼は、アメリカの最新のサスペンスマガジンを買ってきてくれた。読み終えてみると、その中の短編のひとつ 「ジェニファーに花を」 が最も優れていた。彼は日本語を勉強していたので、早速この短編を和訳し、漢字にはルビをふって彼に日本語の勉強に、と手渡しました。当時はワープロでした。
 "stalker" 英和辞書にこの言葉はありませんでした。

 この小説のテーマは凄まじいストーカーの恐怖であった。当時はまだ日本語としてのストーカーなる言葉もなく、ましてや日本でストーカーのような犯罪が社会問題化するなどとは夢想だもしなかった時代だったので、ぼくは stalk (忍び寄る) が 人称代名詞の stolker になったものだと解釈して stolker を <忍び寄り人> と訳したものでした。

 ・・・それから約5年後に日本を震撼させるストーカー殺人事件が起ころうとは・・・

 "埼玉県のJR桶川駅前で女子大生刺殺さる" この記事を新聞で目にした時、ぼくはただの痴情の縺れくらいに考えて大して気にも留めませんでした。ところが数日のうちに、刺した相手がその筋の者らしい、と新聞やテレビで報道され始めました。 「まさか・・・」 暴力団員が普通の女子大生を刺し殺す・・・こんな話しを今までに一度も聞いたことがなかったし、何かで読んだ覚えもありませんでした。
 でもアメリカでは・・・「危険な情事」 「ミザリー」 などの映画を見ていたのでストーカーなる言葉は英語では理解していたのですが。

 テレビのワイドショーが連日この事件を取り上げ、一時は、どのチャンネルでもこの映像を流していました。ご記憶の方は多いであろうと思います。
 ・・・被害者の猪野詩織さんの葬儀の日に、ある局の女性レポーターが 「・・・葬儀には髪の毛を茶色に染めた友人たちがどんどん詰めかけています。・・・」 このようにマイクに向かって叫んでいました。
 詩織さんが風俗店に勤め、ブランド品と金を男に金を貢がせていた、というのが殆どのテレビのワイドショウの報道でした。
 ぼくはこの報道を恥かしながら信じきっていました。 「ああ、この種の女性か」 と・・・当時は軽く考え、毎日を仕事に追われていたこともあって、この事件のことは忘れてしまいました。

 ところがこれは上尾署からの報道陣に向けての虚偽のリークだったのです。それを知ったのは・・・

 事件の1、2年後だと思いますが、鳥越俊太郎氏の ザ・スクープ<桶川女子大生殺人事件> がテレビで放映されました。たまたまこの番組を見ていたのですが・・・ 
 ・・・え、ちょっと待てよ・・・今までの報道と随分違うな、とまず感じました。

 この当時は、まだミステリーを書いて投稿しよう、などという夢を見ていたので、不謹慎ながら参考にしようと忙しい合間をぬって図書館などを回り、少しでも小説のネタを仕入れようと、この事件に関する、当時の新聞を読み漁りました。しかしどの新聞にも警察署からリークされた記事以外は何も書かれていません・・・

 やがて・・・
 この事件の真相を追っていた、ジャーナリスト 清水潔氏 が身の危険を感じながらも、足を使って真実を暴き出し、埼玉県 (上尾署) の無情と怠慢さ、管理職の保身 を白日の下に曝します。それがこの書です。



 猪野詩織さんはごく普通のお嬢さんでした、心の優しい (これはエピソードで書かれています)・・・知り合いの友人に頼まれ街の普通の飲食店にアルバイトとして勤めます、がすぐにやめます。自分には客商売は向いていないからという理由で・・・

 詩織さんにとってこの悲劇は、偶然にも大宮市内で出会った、小松和人 という風俗店経営者の偏執狂に起因しています。
 ドキュメントの最後の場面に顔を見せる 小松和人 の 母親と姉 の 清水潔氏 に対する言動で、加害者の家庭環境がどのようなものであるかを示唆します。

 事件を知っていて放棄した、警察署の関係者の管理職の方にも、猪野詩織さんと同じくらいの年頃の娘さんがいます。自分の娘がこのような凄まじいストーカー被害にあったら・・・・・・他人の娘の事件より昇進のほうが自分にとって重要であると・・・この管理職はこのストーカー事件を無視し続けました・・・何度も猪野さん親子が訴えたにも関わらず・・・

 埼玉県は20年に亘って勤務をさせて頂いた県であり、親しい同僚も上尾市に住んでおり、若い頃は飲みにお邪魔したことも何回かありました。その市警察の怠慢、腐敗・・・この事件に関わった警察関係者に対する余りにも甘すぎる処罰・・・思わず溜息が・・・




 桶川ストーカー殺人事件 ― 遺言

                    清水潔 著
  まえがき

  第一章 発生
  第二章 遺言
  第三章 特定
  第四章 捜索
  第五章 逮捕
  第六章 成果
  第七章 摩擦
  第八章 終着
  第九章 波紋
 
  あとがき

  補章  遺品

  発行所 新潮社 著者 清水潔 ¥590 平成十六年六月一日発行





 尚、このドキュメントでは殺人事件に関わった、風俗関係者と暴力団員は実名で明記されています。しかし、この事件を知りながら放棄した上尾署、並びに埼玉県警の職員たちの実名は伏せられています。

 ぼくの20年にわたって勤めた県の汚濁・・・最悪の事件でした。

 本のカバーに載っている、猪野詩織さんの美しく優しそうな写真を見ると、なんでこのような普通のお嬢さんが、あんな凄惨な事件に巻き込まれなければならないのだろうと・・・やりきれない気持ちでいっぱいです。

 詩織さんのご冥福をお祈りするばりです・・・

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
この事件については言葉がありません。唯無念です。
戦中派の尻尾
2006/08/28 16:09
 この事件が起こった時は、全く信じられませんでした。こんなことってあり・・・真相がのみ込めず一体どうなっているんだろうという思いに捕われたものです。そして徐々に真相が・・・猪野詩織さん、お気の毒で。ぼくが若い時、小松と言うこのストーカーをを知っていたら・・・これ以上は控えます。
 涼しくなりました。お酒の季節がやってきますね。
my favorite stories
2006/08/28 19:18

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